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07/2/19
第22号
          
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トレボルで美肌づくり

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皆さん、今日は。
金沢食品総合研究所 千田 昌利です。
いつも私のつたない、メルマガお読み頂き有難うございます。


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今日はいつもと違って、とってもいい話を頂いたので、皆さんにご
紹します。少し長いですがお付き合い下さい。



娘が学校へ行った!奇跡の作品、「クワガタと少年」

とあるデパートの昆虫売り場。

熱心にクワガタを見ていた少年が、昆虫の餌を商品棚に並べていた
店員に問いかけます。

「すみませーん」
「うん? なんだい坊や。あ、クワガタかい」

店員は餌を持ったまま駈け付けます。

「うん、そうなんだけど……。ねぇ、おじさん。クワガタの値段っ
てどうやって決めてるの?」
「値段?」

「うん、値段」
「そうだな。やっぱり体の大きさとか、ツノの形かな。体が大きか
ったり、ツノがかっこよかったりすると値段が高くなるんだよ」

すると、それを聞いた少年がいぶかしげに言いました。

「ふーん。でもそれだったらおかしいよ」
「おかしいって何が?」

「だって、向こうのかごに入ってるクワガタは、全部一匹3000
円でしょ。それなのに、なんでこのクワガタはこんなに安いの?
体だって大きいし……。それにツノだってかっこいいよ」

そう少年が指差したクワガタのかごには「300円」と値札が貼ら
れています。

「それに、ほかのかごにはたくさんクワガタがいるのに、このかご
だけ二匹しかいないけど……。安いからたくさん売れちゃったの?」

小首をかしげる少年を見て、店員は「またか」と心の中でため息を
つきました。

「違うよ、坊や。よーく、この二匹のクワガタを見てごらん。どち
らも足が五本しかないだろう」
「え?」

少年は目を皿のようにしてクワガタの足の数を数え始めます。

「一本、二本……。ホントだ、五本だ。こっちのクワガタもそうな
の?一本、二本……。こっちも五本だ」

五本足のクワガタに驚いたのでしょうか。少年は黙り込んでしまい
ました。

「かわいそうだけど、このかごのクワガタはどっちも足が一本折れ
ちゃってるんだ。乱暴に捕まえると、時々こうして足が折れちゃう
んだ」

少年は何も答えずに、しかし、目をそらすまいとするかのように、
クワガタを見つめ続けています。一方、気の重い種明かしを終えて
心が楽になったのか、店員の口は少し軽やかになりました。

「まあ、だけどそれも運命かな。それよりも、足がないクワガタな
んて人気もないし、ただ邪魔なだけだよ。実際、こんなに安いのに、
昨日から誰も買おうとしないしね」

店内はクワガタの羽音が聞こえそうなほどの静けさに包まれました
が、やがて、ずっと黙り込んでいた少年が口を開きました。

「よし、決めた。おじさん、ボク、このクワガタを買います」
「え? この足がないやつをかい?」

「足がないって、ちゃんと五本もあるでしょ」

少年のその真剣なまなざしに店員は一瞬たじろぎましたが、すぐに
ある疑問が頭をよぎりました。今度は、少年が店員を納得させる番
です。

「坊やがそう言うならおじさんも無理には止めないけど、ひょっと
して坊や、お小遣いが足りないの?」
「ううん。今、5,000円持ってるよ」

店員はその答えに安心すると、大きな笑い声を発しました。

「ハハハ。それなら坊や、こんなクワガタはやめて、向こうのちゃ
んとしたクワガタにしよう」
「ちゃんとしたクワガタ?」

「うん、向こうの普通のクワガタを見に行こう。おじさんが説明し
てあげるから。あ、それから、このクワガタがそんなに気に入った
のなら、あっちのクワガタを買ってくれたらタダにするから一緒に
持って帰りなさい。どうせ、誰も買わないんだから」

そう言うと、店員は少年の手を取って3,000円のクワガタのか
ごに向かって歩き出しました。ところが、店員に手を引かれた少年
は、五本足のクワガタに未練があるかのようにその場を動こうとは
しません。

「ちょ、ちょっと待って、おじさん!」

少年は叫びましたが、足はついに床からはがれることはなく、その
場に転んでしまいました。

カキン。

金属音が鳴り響きます。

「なんだ、今の音は?」

店員はすばやく店内を見渡して、自分と少年しかいないことを確か
めると、振り向いて少年に謝りました。

「ごめんよ、坊や。大丈夫かい」

少年はコクリとうなずきます。

「よかった。それから、今、何か音がしなかったかい? 金属バッ
トみたいな音」

すると、少年はスクッと立ち上がり、ズボンの右足の裾をまくり上
げながら言いました。

「それはこの音だよ」

音の正体を見た店員は、驚きのあまり顔をこわばらせました。

「坊や、その足は……」
「うん、義足だよ。色が肌の色と一緒だから、ちょっと見ただけじ
ゃわからないでしょう?」

「ぎ、義足……」
「ボク、幼稚園のときに車にひかれて、右足がなくなっちゃったん
だ。それから、ずっとこの義足が足がわりってわけ」

店員は、必死にことばを探しますが見つかりません。

「でもおじさん。確かにボクは右足がないけど、自分がちゃんとし
てないとか、普通じゃない、なんて思ったことは一度もないよ。そ
りゃ、友達みたいに走ったりできないし、それにサッカーなんかも
したいな、なんて時々思うけど、だけどボク、これでも歩いて学校
に通ってるんだよ」

「へえ。ど、どのくらい歩いてるの?」

それは、店員がやっと見つけたことばでした。

「一キロだよ。あ、それからおじさん。足のないクワガタは人気が
ないって言ってたけど、ボク、一学期は学級委員長だったんだよ。
選挙で選ばれたんだ。クラスでは結構人気者なんだから」

「……」

「ねぇ、おじさん。聞いてるの?」
「あ、あぁ。もちろん聞いてるさ。坊や、学級委員長なんて凄いじ
ゃないか」

「でしょ。それからおじさん、ちょっと考えてみてよ。ボクなんか
二本のうち一本しか足がないのに、このクワガタは六本のうち五本
も残ってるでしょ。通分すれば、このクワガタのほうが数が大きい
んだよ。ボクは六分の三、クワガタは六分の五だもの」

 そう言うと、少年は本当に嬉しそうに微笑みました。

「通分……。そう言えば、おじさんも坊やくらいのときにそんなこ
と習ったなあ。坊や、算数が好きなのかい?」
「うん、大好き! 将来はノーベル賞を取るんだ」

「それは凄い」
「それに、体も大きいし、ツノだって3,000円のクワガタより
ずっとかっこいいじゃん。ね、だからボク、やっぱりこのクワガタ
にするよ!」

興奮する少年に、落ち着きを取り戻した店員も負けじと高い声で応
じました。

「そうか! 坊やがそう言うなら、このクワガタにしようか!」
「うん!」

「どうする、坊や。二匹持っていくかい?」
「うーん……」

 少年は、考え込む顔をしたあと口を開きました。

「一匹でいいです」

店員は、五本足のクワガタを手際よく箱に入れて、お釣りの4,700
円と一緒に少年に手渡しました。と同時に、さっきまで手にしてい
た餌に目を落とします。

「そうだ、坊や。この餌はサービスするよ」
「サービス?」

「そう、ただであげるってこと」
「ホント! なんか儲かっちゃった。でも、この餌、700円って
書いてあるよ。クワガタよりも高いのに」

「いや。これはお礼だよ。坊やが大切なことを教えてくれたから」
「大切なこと? それって通分のこと?」

「通分? う、うん。まあ、そうかな。ハハハ」

 照れ笑いを浮かべる店員に別れを告げて、少年は五本足のクワガ
タと去って行きます。店員は、歩くたびに発する少年の右足の硬い
金属音の中で、彼の後姿を追い続けました。

 そして、少年の背中が視界から消えたあと、一匹だけ残ったクワ
ガタのかごに近づき、「300円」の値札に「0」を一つ付け加え
たのでした。

               《完》

どうでしたか?この作者の大村あつしさんは、IT関連の執筆や講
演活動をされている方です。ご興味のある方は、下記が「クワガタ
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■編 集/千田 昌利 
■発 行/ダイエー食品工業株式会社
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